抑肝散加陳皮半夏と加味帰脾湯

 今年の夏は今までの中で一番暑いと感じた夏でした。

 この記事を書いている9月下旬ですら、朝晩は少し涼しくなってきたものの、毎日30度超えという日が続いています。来年の夏もこうなのかな。いやだな。

 そのせいなのかどうなのか。

 よくのぼせるようになりました。

 背中から暑くなり、その熱が頭まで上がって、全身に汗をかく…という感じです。長さは数分程度。その症状が数時間おき、または数十分おきに出現します。きっかけは分かりません。でもストレスを感じたときや集中して考えごとをしているときによく起こるような気がします。

「そのうち治るかな」と放っておくと気持ちが悪くなるので、「やばい」と思ったら、とにかく横になって、熱感が治まるのを待つことにしています。

 なにげに面倒くさいです…(苦笑)。

 面白いというか、興味深いのは、そんなときでも、足先はわりと冷たいということです。といっても、冷え冷えというわけではありません。手で触るとそこそこあったかいのです。上半身が熱いので、相対的に「冷えている」と感じているだけなのかもしれません。

 それからもうひとつ。
 動悸もときどきありました。特に寝る前の動悸は本当に嫌なもので、そのせいで寝付けないこともしばしば。

 すごく不快な症状なので、気になって仕方なかったのですが、もともとのぼせの症状があったわけではなく、今年の夏に急にこんなふうになってしまったので、主治医のお医者さんも首をひねりながら「暑さのせいかな?」とおっしゃっていました。

 そんなこんなで、お薬は加味帰脾湯(かみきひとう)を処方されました。

 で、結果はどうだったかというと――。

 のぼせの症状はかなり軽くなりました。
 以前のように、頭がカーッと熱くなって気持ち悪くなるという症状がなくなり、のぼせの回数自体も減りました。動悸もほぼなくなりました。

 でもここで一つ。気候に変化が。
 実は加味帰脾湯を飲み始めたころから、それまでよりも最高気温が1~2度低くなり、雨が降る日も出てきたりして(今年の夏は本当に雨が降りませんでした)、ほんの少しですが、暑さが和らいでいったのです。
 症状が治まったのは、お薬の効果が大きいと思いますが、気温が下がってきたこともプラス要因として働いたのかもしれません。

 ちなみにそれまでは抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)を飲んでいました。
 抑肝散加陳皮半夏と加味帰脾湯はわりと生薬がかぶっています。
 以下に処方構成を書いてみました。

加味帰脾湯抑肝散加陳皮半夏
黄耆(おうぎ)
柴胡(さいこ)柴胡
酸棗仁(さんそうにん)
蒼朮(そうじゅつ)蒼朮
人参
茯苓(ぶくりょう)茯苓
遠志(おんじ)
山梔子(さんしし)
大棗(たいそう)
当帰当帰
甘草甘草
生姜
木香(もっこう)
竜眼肉(りゅうがんにく)
釣藤鈎(ちょうとうこう)
川芎(せんきゅう)
陳皮(ちんぴ)
半夏(はんげ)

 二つとも「不眠」に効果があると言われていますが、わたしの場合は、抑肝散加陳皮半夏を飲むと寝つきがよくなる感じがします。体がだるーくなって眠りにつきやすくなるのです。また途中で目が覚めても、そのまま、また眠りに入れます。心地良い重だるさがあるからかもしれません。
 夜の分は、寝る直前に飲むと効果的な気がします。