漢方が「うさんくさい」と言われる理由

 ※個人的な意見です。

 一番の理由は「客観よりも主観に重きが置かれているから」かもしれません。

 数年間、漢方薬を服用して感じたことは、薬の効果を測るとき、一番大事にされるのは「主観」だということです。西洋医学の場合は主に検査データを基準に「正常か、異常か」を判断しますが、漢方の場合は「患者自身が改善したと思うかどうか」が重視されます。

 もちろん診断する際には、舌診や脈診、場合によっては、腹診などの結果、つまり、お医者さん目線で見た結果も材料として用いられますが、これとて機器で測ったデータではありません。

 だからこそ、たとえ、データでは「異常なし」と出たとしても、漢方で改善することがあるのかもしれませんが、この「主観」というのは、なかなかやっかいなやつでして。

 なぜなら、主観というのは「揺らぎ」がとても大きいからです。

 主観は、その日の気分や体調、場合によっては、お天気などによっても変化します。
 同じくらいの頭痛であっても、「痛い痛い」と思う時もあれば、「大したことない」と感じることもあります。そして「大したことない」と感じているときは、頭痛があったことをお医者さんに言わないので、その頭痛自体「なかったこと」になってしまいます。
 忙しくて、自分の体調に構っているヒマがないときなどは、この傾向が顕著になります。
 また、痛みというのは、案外、慣れれば慣れてしまうものなので、頭痛のある状態が普通になってしまうと、また、お医者さんに言うのを忘れてしまいます。
 本当は頭痛があるのに、その情報がお医者さんと共有されず、結果、診断結果に反映されないということが起こってしまうのです。

 よく、「漢方は効かない」という話を耳にすることがありますが、その原因の一つは、実はここにあるのではないかと個人的には思っています(もちろん他にもあると思いますが)。

 なので、自分の体調を観察するときは、なるべく客観的であることを心がけています。
 具体的には、「頭が痛いな」と感じたら「大したことない」とか、過剰に「痛い痛い」などとは思わずに、「今日は頭が痛かった」と日記帳に記録します。そうすれば、後日、自分の体調を客観視することができるからです。

 データによらない診断がメインである以上、これからも「漢方はうさんくさい」と言われ続けると思いますが、大事なのは、あくまでも、ツラい症状が改善に向かうことであって、漢方に対する世評ではありません(ま、世評も別の意味では大事なんですけどね…)。
 そのためにできることは、自分の症状を客観視するクセをつけることではないでしょうか。